鶴ヶ谷地区は大変高齢者の多いところです、毎日多くの高齢者を診させていただいていると、幸せに食生活をおくれている人と、そうでない人の差はどこにあるのだろうと考えさせられます、いずれ皆さんも歳を取り高齢者の仲間入りをします、ある高齢者の患者さんから「私は何の楽しみもないけれど食べることだけが楽しみだ」と言われたことがあります、私は皆様とともにどうしたら幸せな食生活を送れるか考えていきたいと思います。

虫歯

人が歯を失う原因として虫歯と歯周病がありますが先ず虫歯について考えてみましょう。

虫歯というと一般の人は削ったり詰めたりして治療し完全に治すことを考えますが、虫歯はあなたの敵ではありません、仲良く上手に付き合っていかなければいけません、虫歯ができるということは、体があなたに生活習慣や食生活が乱れているよと教えていることです、いくら治療しても根本的な生活習慣を見直さない限りまたすぐ虫歯になります。虫歯がなぜできるのか考えるときに唾液の量や質も関係ありますが直接働くのは唾液のpHです、ペーハーは7が中性で酸性にもアルカリ性にも傾いていない状態ですがそれが唾液のいい状態です。ペーハーが5.5以下になると歯のカルシウムが溶かされると言われています、その状態が長く続くと初期の虫歯が発生します、しかしこの状態では虫歯は治療しなくても唾液の力によって修復されますが、ペーハーの低い状態が持続されますと修復不可能な虫歯に進展します。ペーハーの低い状態が続くということは、コーラやスポーツ飲料をだらだら飲んだり、食後ブラッシングを怠りプラークのついたままに放置したりすることです。口の中の環境は一人一人違いますが、一つの口の中では全ての歯が同じような環境に置かれていますので一本虫歯ができるということは他の歯にもできているか、あるいはできつつあるということを教えてくれていることですので、やはり虫歯に感謝をして生活習慣を見直さなければいけません。先ず治療するよりなぜできたかを考えなければなりません。

歯周病

歯周病は虫歯とは違い細菌による感染症です、ですからいくらブラッシングをしっかりやって、いい生活習慣を送っていても、進行する人はいます、しかしはっきり言えることは、しっかり歯周病のメンテナンスを行っている人は、そうでない人に比べて明らかに歯を長持ちさせることができます。口の中には好気性菌と嫌気性菌の2種類がありますが、このうち悪さをするのは嫌気性菌です。

歯周病の進行度合いを示す数値としてポケットの深さというものがあります、歯周病が進み歯を支える歯槽骨が無くなってくるとポケットの深さは深くなります。一般に1~3mm迄が初期の段階、4~6mm迄が中程度の段階、6mm以上が高度に進んだ段階です、ポケットが3mm程度ですと存在する細菌は好気性菌が多数を占め悪さをしません、しかしポケットが6mm以上になると酸素がある環境では生きることのできない嫌気性菌が多数を占めて悪さをし、さらに骨を溶かして、歯周病を進行させます。しかし適切なメンテナンスやブラッシングを行うことにより歯周病の進行を止めることができます。歯周病は喫煙や糖尿病とも密接な関係があります、最近では心疾患との関連もあると言われております、歯周病は良くなったり悪くなったりを繰り返します、メンテナンスにいらして悪化している場合、事情を聞きますと、配偶者の死やその他のストレス、入院手術でブラッシングができなかったなどの環境悪化が原因で有ることが解ります、しかしメンテナンスをしっかりして、また元の規則正しい生活に戻ると驚くほど歯周病が改善した症例もたくさん見ています、歯周病が進んでいても落胆せずに上手に付き合っていくことが大切ですし、また歯周病が悪化した場合必ずその原因があります、それを突き止めることにより心疾患、糖尿病なども改善させることに役立つかもしれません、歯周病とも仲良くお付き合いすることが大切です。